「なんでこんな投稿するんだろう」「どうして気づかないんだろう」
若者のソーシャルメディア利用を見ていてこう思うことはありませんか?私もよく驚くことがあります。ただ、それは社会経験を重ねる中で身に着けてきた世間の常識の尺度で見ているのであって、すべての若者が同じ尺度をもっているとは限りません。同じ年齢でも、育ってきた環境によって‘境界線’は違うものです。
ソーシャルメディアに関わらず、世の中にはまっすぐ1本の線で明確に分けられないことがたくさんあります。例えば、「公序良俗に反する投稿はしない」。ソーシャルメディアポリシーの中でよく見かける文言です。万引きをする、人を傷つけるなど明らかに法を犯している場合は別ですが、モラルやマナーについてはその線引きは曖昧です。過去の事例などから、具体的にどういう内容がトラブルを引き起こすのかを提示しておくことも必要です。
ソーシャルメディアだけでなく、インタビューでもそうなのですが、「指導者には相談できない」というアスリートの意見をよく耳にします。監督が恐い、コーチはソーシャルメディアを使っていない、バレたらスタメンから外されてしまうなど理由は様々です。ソーシャルメディアのトラブルは放置すればするほど拡散していくわけですが、これらの理由から対応が遅れ‘炎上’という状態まで事態が悪化した例もあります。炎上後の連絡経路を確立するよう勧めていますが、そもそも連絡しなければ意味がありません。自分の若いころを思い出しても、保護者には相談しずらい時期もあります。相談しやすい関係を築く努力とともに、我々のような第3者に相談する選択肢も検討してみて下さい。
ソーシャルメディアポリシーを作成しているチームもありますが、各自の投稿を細かくチェックするとルールが守られていないということがよくあります。トップダウン的に決めたルールはなかなか浸透しません。それはいつの世も同じです。アスリートのトラブルは、個人だけではなくチームや学校にも影響を与えることが多く組織として一定のルールを定めることも検討すべきですが、最終的には『投稿』ボタン押す個人の判断に委ねられています。時間のかかることですが、1人1人が自分の身を守りトラブルなく利用するために必要な‘Myルール’をもってソーシャルメディアを使えるよう、しっかりと情報を提供し、疑問や不安にこたえられる基礎知識を身に着けておくことが指導者・保護者に求められいます。
ソーシャルメディアのトラブルは、おそらく指導者・保護者の皆さんが学生時代にはなかったものです。インターネットでのいじめ問題なども、ニュースの中の話のように思えますが実際身近で苦しんでいる若者がいるかもしれません。ソーシャルメディアの問題は、指導者だけで解決できるものでも、保護者だけの責任でもありません。指導者・保護者、そして我々のような専門家がそれぞれの視点で見守り、必要なときに必要なサポートができるよう備えておくことが1番です。
NPO法人日本スポーツメディアトレーナー協会は、アスリートのソーシャルメディア利用をサポートしています。
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