2020年夏のオリンピック・パラリンピックが東京に決定しました。
最有力と見られたマドリードが1回目の投票で最下位となり、決選投票は東京vsイスタンブールに。
蓋を開けてみないとわからないとはまさにこの事だなと思いました。
NHKのスポーツ記者の分析では、決め手はプレゼンテーションにあるとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_0908.html
ロンドン五輪の決め手も、セバスチャン・コー氏のスピーチだったと言われています。
東京のプレゼンは、LIVEは民放で、その後の質疑応答などはNHKで視聴しました。
冒頭でスピーチされた高円宮妃・久子様の美しいフランス語・英語は気品に溢れ、通訳として活躍された久子様ならではの素晴らしいスピーチだなと感じました。
その後のプレゼンは、
エモーショナルな演出だな。
という印象を受けました。質疑応答でも、ノルウェーのハイベルク委員は質問前に「エモーショナルなプレゼンテーション、ありがとうございました」と述べていました。個人的には、冷静で論理的なプレゼンテーションが好きですが、数年に渡り、口頭・紙面で詳細なデータを提示してきた五輪招致レースの最終プレゼンでは‘エモーショナル(感情的)’であるべきなのだと思います。スペインのフェリペ皇太子も、プレゼン終了後に受けたインタビューで、「感情的に訴えるべきだと専門家に言われた」とコメントしていました。最終プレゼンでは東京はもちろん各国そういった専門家のトレーニングを受けているはずです。
スピーチが聴衆に与える影響は「見た目」「声・話し方」「内容」の3つで構成され、挙げた順に影響が強いといわれています。LIVEで見た印象では、感情に訴えることを重視して、曖昧な印象を受けましたが動画で全内容を再視聴してみると、思った以上に具体的な情報を示している事に気づきました。福島に関するデータについては、信憑性のあるデータなのか今後も国民として注視する必要があると思います。
オリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決定し、お祝いムードの報道がなされる中、水を差すようで申し訳ないのですが、決定直後の元アスリートなどへのインタビューで、イスタンブールやマドリードに対する敬意や配慮の言葉を述べている人が私が見た範囲ではいなかったという事が残念でした。トルコからは東京にお祝いtweetが相次いだそうです。2016年で敗れた東京だからこそ、まずは他都市へねぎらいの言葉をかけるのが、真の「オモテナシ」の精神だと思います。
NPO法人日本スポーツメディアトレーナー協会 糸川雅子