メディア・トレーニングでは、不安を払拭してもらうため、アスリートの皆さんの過去の経験についてしっかり話しを聞いています。修士論文のインタビュー調査でも、多くのアスリートが
メディア対応の悩みを指導者には相談できなかった
と話してくれました。
これまでの相談の中では、大事な場面で失敗した経験がマスコミに対してネガティブな印象を与えている場合があったり、取材されたけどOAされなかった場合に自分のインタビューがダメだったからだと自信を失ったというケースもありました。が、私が聞く限り失敗でもなんでもなく良い意味で個性だと感じることがほとんどです。自分や近親者の判断だけで「下手」と決め付けず、相談して下さい。フォーカスすべき点がズレるとうわべだけのありきたりなメッセージになってしまう恐れもあります。
同時に、このアスリートの不安や悩みをスポーツ取材現役中に聞いていれば、もっと良いコミュニケーションがとれたのではと思うこともあります。当協会がマスコミに働きかけることも可能ですが、是非アスリートの皆さんには、積極的にマスコミの人間と交流を深めるなかでお互いの意見を話す・聞く機会を増やしてほしいと思います。
当協会の「第1回対談」で為末大さんもこう言っています。
目の前にいる取材してくれる人と、一緒にそれをつくっていくというのかな。『こういう記事にしようね』みたいな感じが互いに出てくるというのを意識するようになって…。そうすると面白いんですよ、取材って。
味方じゃなくて、ある種、同志ですからね。絶対的なサポーターではないので、もちろん批判が出てくることもある。でも、それは取材者の個人的な思いじゃないと考えるように意識しました。なるべくメディアの人に対してフェアでいるということは大切だと思います。
それでも解決しないようなマスコミへの不信感・恐怖感が強い場合に備え、‘美人’カウンセラーもうちの協会にはいますので必ず力になれると思います(笑)
マスコミに口を閉じることは、イコール、ファンや社会に口を閉ざすことになります。また、スポーツ界ではありませんが、ソーシャルメディアの炎上がマスコミのネタになり精神的に追い詰められて命を絶つという悲しい出来事もありました。そこまで追い詰められる前に是非当協会にご相談下さい。対応策も含めできる限り力になりたいと思っています。
NPO法人日本スポーツメディアトレーナー協会 糸川雅子